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vol.47Corporation Report

社会福祉法人明日へ向かって

福祉をクリエイティブな仕事に!
地域を創る仕事で個性が輝く

いま、福祉業界の中でも先駆的な取り組みで注目を集めるのが、社会福祉法人『明日へ向かって』だ。その取り組みについて迫ってみる。

福祉分野を超えた先駆的な存在

就労継続支援、就労移行支援、生活介護、短期入所、居宅介護、行動援護、移動支援、共同生活援助、特定相談支援……。社会福祉法人『明日へ向かって』が手掛ける社会福祉サービスは多岐にわたる。
『明日へ向かって』の施設を利用する障がい者において、その障がいの種別や程度も実に多彩だ。このため、『明日へ向かって』では、各自のニーズに合わせて施設や業態を拡大・分散させた。その結果、複数のジャンルに応じて多事業を展開していくことで対応するという独自のスタイルをつくり上げた。
このため、『明日へ向かって』の利用者である障がい者約150人、従事する職員約100人という大規模にも関わらず、各事業所単位でのきめ細やかな福祉サービスを提供している点は、特筆に値する。

産学との連携で価値創造

独自の運営スタイルに加えて、『明日へ向かって』は、企業・大学・専門学校との協同事業でも先駆的に取り組んでいる。
長年、パウンドケーキの製造・販売を手掛けてきた『明日へ向かって』が、老舗菓子メーカーの『如水庵』と共同で開発した『はかたサブレはつこい』は初年度、販売個数で1万個を突破するヒット作となった。
また、日比谷花壇とも連携。『母の日ギフト』として生花やプリザーブドフラワーとパウンドケーキとのタイアップ商品も人気を博す。
一方、教育機関との提携例として、障がい者のイラスト作品を活用し、香蘭ファッション専門学校とコラボする衣服デザインや定期開催のファッションショーが挙げられる。さらに大学生によるPBL(問題解決学習)の手法を用いた商品開発も地元大学との間で進む。

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『書道パフォーマンス』がいま、注目を集める

福祉と文化の融合を図る

『インドネシアの伝統的な打楽器であるガムランをフルセットで保有する『明日へ向かって』は、音楽ユニット『GoOn』が発足。また、障がい者と支援者で組織した『よさこいチームたちばな』を立ち上げて、各種イベントに出演する。
パフォーマンス系のアートとして、いま注目を集めているのが、大きな半紙に参加者が思い思いに文字や絵を描く『書道パフォーマンス』だ。介護イメージが強い福祉現場に文化・芸術を持ち込むことで、障がい者の生活の質が高まり、職員の人材確保にもつながる。

活動舞台は海外へも

欧米でのアート展覧会や福祉先進国に職員を派遣する一方、タイの村では、デイサービスを立ち上げるプロジェクトを進めている。いろいろな国々で、音楽などをツールとし て、障がいや言葉の境界を超えて交流を深めていく中、福祉分野がさらに魅力的な仕事になりそうだ。

民族楽器ガムランで新たな福祉の創造へ

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海外研修として赴いたタイのカオディン村で子どもたちと音楽で交流した

大学時代に音響設計を学び、大学院で土笛を研究していた渡辺融さんは縁あって知り合った社会福祉法人『明日へ向かって』に最初、利用者向けに土笛ワークショップ開催の企画書を提出した。4カ月間のワークショップが無事に終了すると、そのまま籍を置くようになった。
理系を活かして会計責任者に抜擢されるも、障がいのある人たちと一緒に過ごす中で「音楽なら、ダイレクトに分かり合える。言葉を介さなくてもコミュニケ―ションができる」という音楽の可能性に気付いた。
そして、世界中の楽器を検討した結果、インドネシアの民族音楽を合奏する打楽器『ガムラン』が最適と考え、フルセットを現地で買い付けした。
「ガムランを演奏すると、利用者が楽しそうな表情に変わる」。
現在、音楽活動ディレクターとして活躍する渡辺さんはにこやかなに語りながら、『なみきスクエア』(福岡市東区千早)で開催する自主公演の開催準備に余念がない。
『明日へ向かって』では、職員を海外研修へ派遣する機会も多い。タイのカオディン村に高齢者のデイサービスをつくるプロジェクトに参画し、村の子どもたちとの音楽活動を通した交流事業にも着手している。「音楽というコミュニケーション手段は、障がいの壁も言葉の壁も乗り越えることができる」。
就労事業に加えて、音楽を通じた芸術・創作活動は、新たな共鳴を生み、地域を巻き込んで従来無かった取り組みや事業などの可能性を秘めている。

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渡辺融

出身校:九州大学大学院
出身学府:芸術工学府
生年月日:1981年8月生
出身地:京都府
趣味:雅楽、ガムラン、創作音楽、古楽器
好きなアーティスト:ディアンジュエル(黒人音楽の作曲家・演奏家)、豊英秋(元宮内庁楽部主席楽長)

広告業界でのキャリアが福祉界で花開く

早稲田の杜で学んだ佐藤文香さんは大手広告代理店で各種媒体の制作やマーケティングを手掛けたキャリアをもつ。小学校時代に障がい児の支援学級と交流した経験が忘れられず、養護教諭を考えたこともあったことから、思い切って通信講座で福祉の勉強を始めた。
転職先を探す中、福祉の現場を見学したいと考えた時、広告代理店で担当したお菓子関連のイベントで明るく元気な声で楽しそうに呼び込みをやっていた社会福祉法人の菓子工房を思い出し、連絡を取ってみた。施設見学に訪ねると、現場責任者や支援職員の姿勢に共感して、昨年12月に入社する運びとなった。
現在、社会福祉法人『明日へ向かって』の菓子工房『ぷぷる』でお菓子づくりや袋詰め、ラッピングなどを手掛ける佐藤さんは、「実際の現場は良い意味で違っていた。勝手に地味で堅いというイメージを抱いていたが、実際は若い人が多く、活気のある職場で、何よりも新しいことにチャレンジしていく姿勢が新鮮でした」とほほ笑む。
前職での知識や経験を生かし、カフェの菓子コーナーのレイアウト担当をはじめ、法人向け販売も手掛ける佐藤さんは、「職場に来ると、元気になれる。障がいのあるスタッフからエネルギーをもらっている」と笑顔で語る。
一方、施設で働く障がい者の工賃は月額で全国平均で1万5千円程度。「広告代理店で勤めた経験を活かし、新商品の開発や企業とのコラボなどを促進し、所得向上に貢献したいと思います」。

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佐藤文香

出身校:早稲田大学
出身学部:政治経済学部
生年月日:1991年7月生
出身地:北九州市
趣味:ダンス(ヒップダンス、ジャズダンス)
好きなアーティスト:安室奈美恵

放浪の末に見つけた自らの居場所とは

学生時代にやりたいことが見つからず、自分探しの旅へ出た北村雄さんはいま、社会福祉法人『明日へ向かって』が運営する重度障がい者の通所サービスで、新たな活動を見いだそうとする真っ只中。
北村さんは20代半ばの日々、九州島内や東京などでホテルや旅館などに住み込んで働きながら旅を続けた。そして、川畑康成の名作『雪国』の舞台だった越後湯沢の旅館で働くなかで、自分探しも一巡し、「やはり地元福岡へ戻ろう」「これまでの経験を生かそう」と福岡へ戻ることを決断した。
帰福後は人の奨めもあって、選択肢には考えていなかった福祉業界へ進んだ。以前、福祉のイメージは老人介護しかなくて、暗くて地味で大変という印象だった。しかし、『明日へ向かって』で働き出すと、障がいのある利用者も若い人が多く、職員も明るく活気のある職場だった。
「施設に通う障がい者の多くは自分探しをしているのではないか」と思うようになった。今では、彼らが初めて経験する活動をつくる現場のリーダとして活躍する。
「やりたいことが見つからない人は、まず一歩を踏み出してみると、目の前に新たな世界が広がる」。かつて放浪した経験を生かしながら北村さんは、利用者にやりがいや楽しみを提供することで彼らの人生における〝伴走者〞としての役割を見出して、充実した日々を笑顔で送る。

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北村雄

出身校:横浜国立大学
出身学部:経済学部
生年月日:1985年3月18日生
出身地:福岡県田川市
趣味:旅行
好きなアーティスト:Mr.Children

誰もがつながる〝場〞づくりの夢を叶える

「一緒に暮らしていた祖父母が大好きだったので大学の社会福祉学科へ進み、サークル活動で老人介護施設や児童入所施設、障がい者施設を慰問していた」と社会福祉法人『明日へ向かって』でワークショップたちばなのリーダーを務める滝下未沙さんは屈託のない笑顔を浮かべる。
入社から7年のプロセスでは過去2回、イタリア・フランスへの海外研修に参加している。「うちの法人は、世界の福祉を参考にする気概があり、常に前進している。チャレンジしたい人にとっては魅力的な職場」と語る滝下さんは、海外研修先で上司から「職場のリーダーをやってみないか」と打診されて自信はなかったものの、「貪欲さだけは誰にも負けない。これはやるしかない」と思い切った。
彼女の施設は、生菓子と縫製品等の雑貨を製作し、店舗ブースを併設している。冷やして食べるチーズスティックケーキは、福岡市のコンテストで入賞した。
「目指していることがあれば、まずやってみること。すると、不思議なことに出会いが待っていて、どこかとつながっていく」と、夢中になりやすい性格を自認する滝下さんは、一歩前へ踏み出していく。
世間一般で「障がい者」というフィルターを通して見られがちな彼らを「まず一人の人間として、バリアーを打ち破って社会につながる夢を叶えたい」と音楽やダンスなどの文化イベントもテコに誰にでもつながっていける〝場〞づくりを思い描く。

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滝下未沙

出身校:西南学院大学
出身学部:人間科学部
生年月日:1988年8月生
出身地:福岡県飯塚市
趣味:温泉めぐり(ご湯印帳を片手に八十八湯めぐり)
好きなアーティスト:YUI

如水庵とのコラボ商品に作曲で花を添える

社会福祉法人『明日へ向かって』が、銘菓『筑紫もち』で著名な『如水庵』と共同開発した『はかたサブレはつこい』は、異例のヒット商品となった。
福岡市内の5つの福祉施設で共同生産する『はかたサブレはつこい』は各施設で異なる設備や機材などのすり合わせでも苦労した末に誕生した。
「商品開発に参加した各施設は、商品力や生産技術などで実力が著しく向上した」と、同法人が運営する菓子工房のリーダー・六車朋篤さんは振り返る。
大学時代に路上でライブを繰り広げた六車さんは卒業後、SEとして就職する同級生が多い中、「人と関わる仕事がしたい」と医療福祉専門学校へ進んだ。
児童福祉に興味を抱いた六車さんは障がい者施設での実習も経験。卒業後に1週間限定のアルバイトのつもりで働いた『明日へ向かって』の社是、どんな苦境からでも、『ここから始めよう』の姿勢が大切だという言葉に魅了された。
そのまま入職した六車さんは、「私自身、学生時代は、唄えども、全くしゃべれない人間だったが、就職して変わった」と、冗舌に話しながらも、照れ笑いする。転機は、レクレーションゲーム担当となった時で、イベントを盛り上げようと必死になって取り組む中で自分の殻を破った。
「勇気を出して、つながろう」――。『はかたサブレはつこい』の発表直前に急きょ、六車さんが作曲して好評を博したイメージソングの中で六車さん自身が優しい歌声で語り掛ける。

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六車朋篤

出身校:山口大学
出身学部:理学部
生年月日:1981年7月生
出身地:東京都
趣味:ギター演奏  ※学生時代に路上ライブ活動
好きなアーティスト:ゆず

働きやすい現場を下支えする裏方の思い

日本の福祉現場が多忙な理由の一つとして、支援職員が片手間で膨大な事務処理をしないといけない点が挙げられる。この点について、『明日へ向かって』は各施設の事務処理を本部事務局に集約することで現場をサポートする体制ができている。
「『助かった!』という現場職員からの一言がうれしい。現場で活躍する職員を支える裏方の仕事が好きで、自分の知識やスキル、経験などを生かしていきたい」と、『明日へ向かって』本部事務局の金子愛さんはおおらかな表情をみせる。
生命保険会社や心療内科での勤務歴がある金子さんは大学時代、心理学を専攻した。「現場に書類を届ける際にも支援員への心掛けを欠かさないようにしており、もしも何かあれば、報告や相談がしやすいようにしていきたい」との気配りをみせる。
就労支援や介護、ヘルパー、ショートステイ、グループホームなど、障がい者を支えるサービスは多岐にわたる。「各部署にはいくつもの課題があり、これらの解決策のうち他部署で使える手法があれば、事務局で情報収集して現場へ提供している」。いろんな部署で働いてみたいと思う職員が増えると利用者にも有益だ。こんな職場をつくる事務方も間接的な支援といえる。
「就職面談会でみたポスターの笑顔がすてきと思った」ので、転職を決めたという金子さんは、「現場と事務方が一体的に取り組み、この仕事が社会的にもっと認められて、福祉職の地位もさらに向上していくように努めていきたい」との思いを語る。

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金子愛

出身校:学習院大学
出身学部:文学部
生年月日:1980年11月生
出身地:福岡県粕屋町
趣味:動物園・水族館巡り、大道芸鑑賞、好きな動物はカワウソ
好きなアーティスト:米津玄師、スピッツ、sumika

福祉経験ゼロからの転職が天職となる

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専門学校とコラボでファッションショーを開催

 「かつての職場が、数字のノルマに追われる仕事だったので、人と人とが触れ合う福祉の仕事が新鮮に思えた」。
社会福祉法人『明日へ向かって』が受託運営する福岡市東区第2障がい者基幹相談支援センターで相談業務を担当する青山高士さんは穏やかな口調で語る。大学を卒業して入社した金融会社で疲労困憊した末に退職。アルバイトで生計を立てる中で巡り会ったのが、社会福祉法人『明日へ向かって』だった。
 「介護一辺倒でなく、幅広い視点で生活・人生を支える方針。福祉経験ゼロの私でもビジネスの対人関係の経験を生かして、いろいろな挑戦ができた」と振り返る青山さんは、就労支援や生活介護、居宅介護、移動支援、短期入所などでキャリアを積んで昨年4月から公的な基幹センターで相談業務を担当している。
相談対象は、精神疾患に悩む障がい者本人をはじめ、家族や親戚、地域住民・関係機関など幅広い。センターでは統合失調症や大変な生きづらさを抱えた方からの相談が多いだけに言葉遣いや身だしなみにも気を配る。そして、相談者の反応にも注視しつつ、相談者が受け入れ可能な支援をカタチにしていく。「受けた恩は忘れない」ことを信条とする青山さんは、同法人とともに、「ずっと〝明日へ向かって〞いくつもりだ。アートや音楽など、福祉と文化の融合を目指す法人の一員として、相談にくる人たちの居場所や生きがいづくりに努めたい」と人なつっこい笑顔でほほ笑む。

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青山高士

出身校:福岡大学
出身学部:経済学部
生年月日:1971年7月生
出身地:福岡市東区
趣味:本を読むようにしている(佐藤優をはじめ世間での注目本など)
好きなアーティスト:若い頃は、おニャン子クラブ

仕事と育児の両立で相談サービスに注力

精神障がいや発達障がいの課題は、家庭、職場、地域でとても身近になっている。気軽に、また堂々と相談に行けるカフェスタイルの福岡市東区第2障がい者基幹相談支援センターは、2017年春に福岡市から委託された。金子祐子さんは、開設メンバーの一人だ。
 「支援者次第で相談者の人生が大きく変わる。大変な仕事だが、私の働き掛けで困りごとがやわらいで、望む方向へ進み、生活が安定することにやりがいを感じる」と語る金子さんのまなざしは優しい。これまで就労支援・介護・生活支援などを通じて障がいのある方の生活をトータルに支援してきた金子さんは、「重度の障がいのある弟とともに育って福祉が身近だった。家族のために何か役立ちたいという思いが原点にある」。
現在、3歳の女児をもつフルワーキングママでもある金子さんは、「子育ては時間との戦い。残業や持ち帰りができないので毎日、150%のパワーで働いている」と明かす。子育て経験を後輩らに伝えてアドバイスしたいとする金子さんは、「娘が大人になったら、もっと女性が活躍する時代だろう。その成長過程で楽しそうにいきいきと働く母の姿をみせたい」と考える。
以前、大病して個人的にも大変だった金子さんに救いの手を差し伸べた職場に対して、「職員を大切にしてくれて各自に応じた役割を考えてくれる」と感謝の念を忘れない。日々、相談業務などで多忙な金子さんは「障がい者の暮らし向上で恩を返したい」と前向きに取り組む。

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金子祐子

出身校:福岡教育大学
出身学部:教育学部
生年月日:1982年9月生
出身地:福岡県みやま市
趣味:シンプルライフ、無印良品好き、旅行・アウトドア
好きなアーティスト:BUMP OF CHICKEN、米津玄師

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ワークショップ たちばな
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スクラムアート工房 こころの色
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菓子工房 ぷぷる
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Myself
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カフェ オリジナルスマイる
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福岡市東区第2基幹相談支援センター
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社会福祉法人明日へ向かって

【本 部】
〒813-0025 福岡市東区青葉2-11-9
TEL:092-663-2833/info@swca.or.jp
【事 業】
就労継続支援B型、就労移行支援、生活介護、共同生活援助、居宅介護、行動援護、移動支援など
【職員数】
95人(2017年1月現在)
明日へ向かっての採用情報を知りたい方は下記へ
http://www.swca.or.jp/