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YELL新世代のビジネスリーダーに贈る~Viewpoint of the sage~

岡部隆司氏株式会社ココシス代表取締役会長

メンバーの夢や想いがひとつとなった磁場から新しいビジネスが生まれる

今日の企業を取り巻く事業環境の中で、新たな視点で未来を支える事業を興す。いくつかの時代を見てきた経験深きビジネスリーダーは、どのような視点で、〝現在〟という時代を見ているのだろうか。他に類をみない独自の経営方針と、型破りともいえる異色の組織づくりで躍進するココシスグループ代表であり、創業者の岡部隆司会長に自らの原点や時代感、さらに新世代のビジネスリーダーへのエールを聞いた。

プロローグ

COre COmpetence SYStemココシスグループ

ココシスグループとは、株式会社ココシスを筆頭に5つの事業会社と3つのグループ会社を擁する、創業者・岡部隆司氏が率いる躍進中の企業グループだ。

異色の多角経営を展開するココシスグループの中核企業に成長したさくらフォレストは、〝電話ノルマなし〞〝売り上げノルマなし〞〝マニュアルなし〞という異色の運営方針で毎年、業績を5割増で伸ばしている。

「ありがとう」を伝える感謝の朝礼が社内に良好な人間関係をもたらし、社外からの見学や取材が絶えない。

同社の経営陣は、マニフェストを掲げて立候補した社員の中から全スタッフが投票する〝選挙〞で決まる。さらに社員の給料体系は、社員らで話し合って決める。こうした一連の取り組みは社員にやる気や働きがいをもたらし、社員定着率で95%という数字を誇る、出色の企業グループ。

ビジネス・事業創出の原点

決められたレールへの反発金魚すくいと父の背中

「子どもの頃から会社に勤めるより、『商売をやる』と言っていました。もっとも、周りの大人からは、裸一貫で商売を始める奴は〝人生の脱洛者〞とみなされて、さんざん否定されました。当時は、〝良い学校〞に入って〝良い会社〞に勤めるのが〝良い人生〞という時代だったので、子どもながらに閉塞感を感じていました」

型破りともいえる経営手法を打ち出すココシスグループの創業者・岡部隆司会長の実家は商店を営んでおり、地元商店主と地場中堅スーパーらが力をあわせて立ち上げたショッピングセンターの一角にあった。

中学時代に父親から勧められて、そのショッピングセンターにて1週間催されるお祭りで金魚すくいの露店を出店したのが、岡部会長にとって人生初の商売だった。

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年に1~2回、S-1と呼ばれる社内ビジネスプランコンテストを開催して、全スタッフから企画案を募っている。そして、最優秀作に選ばれたビジネスプランを事業化していく

しかし、「父は自分で考えろ」と何も教えてはくれない。やむなく金魚の仕入れ先を電話帳で探し、大牟田まで電車に乗って仕入れに行った。最初はこれくらい売れるのでは思う量を仕入れたのだが、たくさん金魚が泳いでいないと人は集まらない。そこで金魚を買い足してボリューム感を出すことで大盛況となったが、最終日に残されたのは現金ではなく、それまでボリューム感を演出してくれていた大量の金魚だった。

「商売にはトリックのような怖さがあることを体験しました。それとショッピングセンターで昔気質の仁義や筋道を大切にする父親の背中を見て育ちました。それが今でも私の事業運営の指針となっています」

勤労観・社会観の目覚めと確立

力仕事のアルバイトを通じて自然と身に付いた仕事の流儀

高校卒業前までのアルバイトは、土木工事などの力仕事だった。中学時代に「始業30分前に現場に到着して準備し、仕事は全力でやり遂げる」という父親譲りの仕事の流儀を当然だと思い、実践していた。

すると、「仕事を単なる労働と考える先輩から『お前は損をしている』と随分言われました。しかし、給料は同じ仕事仲間より、いつの間にかたくさんもらえるようになり、『一生懸命にやれば、認めて評価してくれる人がいる』ということを体感しました。不安はあったものの、自分なりに生きていける道があることを確信しました」

〝現在〞という時代への視点

今と昔、カタチを変えた閉塞感の中で、リーダーが目指すものとは

 「今日、西洋的な白か黒かで考える二元論的な価値観に会社のあり方や働き方が変化してきました。これは局面によっては個人が成長しにくい時代だと思います」

「曖昧な部分もありますが、本来、中庸を尊ぶ日本人の感覚はすばらしく、仕事に対する美学をかつてはたくさんの方々が持っていました。労働させられていると考えるよりも、若い人たちには仕事の中に楽しみを見つけて、仕事自体をクリエイティブすることをお薦めしたいと思います。それが人間としての成長を促します」

さくらフォレストにみられる他に類をみないユニークな組織づくりの根底には長年、世間の常識や社会の常識にはとらわれずに、〝他をもっては比較検討できないサービス〞(ココシス社訓)を提供してきた岡部会長は、次々に個性的な事業展開を行ってきた。

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経営陣を全スタッフによる〝選挙戦〟で選ぶさくらフォレストでは、立候補した社員は各自のマニフェストを発表して、さらに選挙ポスターも作成するなど本格的だ

経営コンサルティング事業からスタートして、通信販売事業やレストラン事業、ブライダル事業、ゲストハウス事業、海外通販事業などの新規事業を相次いで立ち上げ、様々な事業を発展させている。

「ビジネスモデルが良ければ、事業は発展します。そのビジネスモデルは自分の経験や気づきから生まれますが、そのビジネス自体は不思議な偶然性にも左右されるものです。成功の秘訣というものが漠然としたものになりがちなのは、実際の現場では売れた理由の説明を科学的に立証することすら困難だからです。これは私なりの経験則ですが、ビジネスの種が見つかり、芽を出し、それが育つには、それを生み出した場の空気や、その磁場みたいなものに集まった人たちの夢や想いがかみ合ってひとつになることが重要で、その場の空気、磁場が大切なのかなと感じています。たとえば、通販商品は一定値まではマーケティングで予測可能ですが、それを超えた場合は、説明が困難な不思議な世界です」

新世代のビジネス―ダーへ

「経営は難しくない。自分の可能性に挑戦してほしい」

「若い人たちに伝えたいのは、経営は難しくありません。経営は、足し算と引き算です。掛け算や割り算は、予想する時にだけ使います。そして、必要なことはリスク回避です」

「素朴な疑問や日常生活から出たアイデアを大事にして、トライしてください。デスクであれこれ考えるより、実際に自分の目で見て、きちんと商売をしたら、良い仲間が集まって来て、良い結果が出ます。ぜひ、自分の可能性にチャレンジしてください。でも、ビジネスには『まさか』もあります。『このビジネスの最大のリスクはなにか?』リーダーはその部分をしっかりケアして、メンバーを導いて成功して欲しいと思います」

これまでココシスグループで立ち上げた新規事業は、社内公募で選ばれたビジネスプランだ。提案した企画が採用された社員が主体になってチームを組んでいく〝社内起業〞でもある。商売歴半世紀の岡部会長にとって、思いのひとつがカタチになったといえる。

ココシスグループが掲げるミッションの中に「第三者には混沌・矛盾・混乱にしか見えない起業機会を察知し、必ずしも所有するとは限らない、経営資源を利用して、自ら信じる起業機会を追及する」との一文を刻む。

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岡部隆司氏株式会社ココシス代表取締役会長

1954年生、福岡県みやま市出身、1973年福岡県立山門高校卒。18歳から本格的に事業を始めて、1995年8月に経営コンサルティングを手掛ける株式会社ココシスを設立し、代表取締役社長に就任。2014年4月に社員だけで運営していく通信販売会社として、さくらフォレスト株式会社を設立。好きな言葉は「仁義礼智信」。