野津浩嗣株式会社アニメートエンタープライズ

vol.45第5回野津浩嗣WEBセミナー

野津浩嗣氏株式会社アニメートエンタープライズ

部下が結果を出せなかったその時上司のあなたは?

誌上セミナーを担当している野津浩嗣です。「部下が結果を出せなかった」時、その「結果」だけを見て叱っていませんか?
「部下が結果を出せなかった」ことに関して、上司の関わり方で反省すべき点はなかったのでしょうか?

第1回から第4回まで、さまざまな部下に対するほめ方・叱り方を中心に、指導法について解説してきました。今回は、「部下が結果を出せなかった」という時に上司ができることについて解説します。

昨年NHKの『なるほど実感報道ドドド!』に出演させていただいた時のお話です。番組のその回のテーマは「努力しなくていいの!?〜変わる若者の人生観〜」でした。専門家として、今どきの若者の価値観に焦点をあてながら、いかに組織の中で育成していくかについてコメントさせていただきました。

 

番組では、ある経営者が新入社員にこの日までに商品を売り込むための斬新なアイデアを10個考えてくるように課題を出していました。しかし、新入社員は7つしか考えておらず、しかも7つのアイデアすべてが経営者が日ごろから言っていることの受け売りばかり。
経営者が部下へ「それは自分が日ごろ言ってることの焼き直し。何の目新しさもない」「そもそも10個の課題で7個しか考えてこないのが問題だ」と叱責します。そして「8割ぐらいのところで努力を止めちゃうんだよねぇ」と新入社員に対して嘆きます。たしかに、期日までに課題をやってこなかった部下が、ビジネス的に甘いと言わざるを得ないのは間違いありません。
しかし、「部下が7つしか課題を出してこなかった」という状況になる前に、経営者にもできることがあったのではないでしょうか?皆さんも一緒に考えてみてください。

ケース①
「部下が結果を出せなかった」という状況に陥る前に上司ができること

この経営者には2つのアドバイスができます。
1つ目は、毎日顔を合わせているわけですから、「今、課題何個できた?」と時々尋ねることで、期日に課題ができていないことを防げます。また「仕事中に何かヒントになりそうなことがあれば、それをアレンジしてみたらどうかな?」と、アドバイスすることも可能です。つまり、部下に対して「あなたのことを気にかけているよ、応援しているよ」という姿勢を見せることで部下は安心して課題や仕事に打ち込むことができます。そして、まずは課題である「10個」をクリアさせることができるはずです。

NHK「なるほど実感報道ドドド!」にコメンテーターとして出演。
NHK「なるほど実感報道ドドド!」にコメンテーターとして出演。

もう1つは、途中経過で「これまで考えた中で一番の自信作は?」などと会話することで、部下自身の考え方・価値基準などを知ることができるということです。さらに、「この案はどこがポイントなの?」「どこがすぐれてるの?」と会話を発展させると、既存にない新しい案が浮かぶはずです。そうすることで、誰かの受け売りになったり焼き直しになったりすることを防ぐことができます。その上で、「それはいいアイデアだ。〇〇を加えてみたらどうかな?」とアドバイスをすることにより、さらに新しいアイデアを創造することができるかもしれません!「ベンチの隣で一緒に考えるパートナー」をイメージしてください。これは、本来のコーチングの理想的な形だといえます。上司と部下は上下関係を基本にした「管理者と部下」の関係ではなく、上司が部下の隣に座り、「いつでも君と一緒にいるよ」と声をかけてあげるような関係をめざすとよいでしょう。コーチングは、社員を自主性・主体性のある自立型社員へと育てます。

【強み】

ケース②
「結果」が出せず落ち込んでしまった部下へ上司ができること

 上司も部下のパートナーとして一緒に頑張ってきた、しかし部下は営業成績でいい結果を残すことができなかった…。そんなことも、あるかと思います。部下は「せっかく上司が応援してくれていたのに…」と、「結果を出せなかった」という事実に深く落ち込んでしまうかもしれません。

 落ち込むと立ち直れない部下、あなたの会社にもいると思います。きっとうまくいっていないことばかりで頭がいっぱいになっているはずです。そんな時には、視点を変えてあげることが大切です。

「結果は別として、今回うまくいったところはどこだと思う?」「1つだけでもうまくいったことない?」と尋ねて、それを挙げたらほめる。プロセスをほめていくのです。
「ここはよくやったよね、でも今回は結果に結びつかなかったから、次はどこを変えるか考えてみよう。早くチャレンジして挽回しよう!」と、気持ちを切り替えてあげます。
さらに、「人」よりも「行動」にフォーカスすることも大切です。

「あなたの能力がないから」ではなく、「あそこがダメだった」というニュアンスで伝える。落ち込みやすい人というのは、どうしても自分の性格や人的要因が何か悪い影響を与えたことで失敗したと思い込んでいます。でも、実際はそういう点とは別の部分が原因で「成功したり、失敗したりする」ことを伝えてあげればよいのです。

「どうして私はダメなんだ」と落ち込んでいるならば、「あなたがダメなんじゃなくて行動のどこかにミスがあったんだよ」というアプローチをします。「私がダメ」という言い訳に逃げ込ませるのではなく、「私のやったあそこがダメだったんだ」というように、理詰めで話していくとうまくいくでしょう。
このように、結果を出せなかったこと、失敗したことについても上司のフォローが必要です。「上司が気にかけてくれている」ということが、なにより部下からの信頼にもつながります。

2つのケースを見ていきましたがいかがでしたか?部下の性格やタイプによっても、いつフォローすべきかは変わってきますが、結果だけをただ責めるのではなく、上司も部下のパートナーとして「一緒に考える」というスタンスでいましょう。一緒に背中を押して、「こっちをめざしていこう!」という雰囲気をつくっていくことが大切です

野津浩嗣株式会社アニメートエンタープライズ代表取締役

野津浩嗣株式会社アニメートエンタープライズ代表取締役

1958年生まれ、島根県出身。政府特殊法人日本道路公団を経て、1990年に研修業界に転職。心理学、行動科学、行動心理学を応用した「リーダーシップ論」を基礎として、企業、病院、自治体など全国の様々な業界分野で3600回以上の研修や講演を実施している。その「人づくり」にかける情熱が参加者の好評を得、約105,000人、600社以上の研修実績を持つ。特に人気が高い研修プログラムをまとめた「人がおもしろいように育つホメシカ理論」(梓書院)を出版。